スチール棚を構成する「スチール」。この作り方を簡単にまとめてみます。
この記事で分かること
- スチールと鉄の違い
- 鉄鉱石とコークスの融合
- 転炉で炭素量を調整する
- 完成したスチールを加工
- スチール棚に使われる鋼板
- 銑鉄(高炉から取り出した段階):炭素を多く含むため、堅い反面もろくて割れやすい性質です。曲げ加工に耐えられないため、そのままでは棚の部材にできません。
- 鋼(スチール/転炉を経たもの):転炉で余分な炭素を減らし炭素量を調整したものです。強く丈夫でありながら曲げても折れにくいため、プレス機でL型やコの字型に曲げる支柱、四辺を折り返した棚板といった構造が成り立ちます。
スチールと鉄の違い
スチール棚を構成する「スチール」(鉄鋼・鋼)は「鉄」に炭素を加え加工したものです。
「鉄」は堅い金属ですが、スチールは堅いだけではなく、丈夫で曲げても折れにくい。
そのため、スチールで、鉄橋や高層ビルの鉄筋、橋梁等の巨大な構造物を支えています。
鉄鉱石とコークスの融合
鉄は、鉄鉱石という石からとれます。
製鉄所では、この鉄鉱石に燃料であるコークス(炭素燃料)を混ぜて高炉の上から入れます。
高炉の中に、熱い空気を吹き込んで、コークスを燃焼させると、鉄鉱石のなかの鉄が溶け出し、高炉の底部に貯まります。
この高炉から取り出した段階のものは銑鉄(せんてつ)と呼ばれ、炭素を多く含んでいるため、堅い反面もろくて割れやすい性質をもっています。
高炉から取り出した段階のものは銑鉄(せんてつ)と呼ばれます。鉄鉱石から酸素を奪う役目をコークスが果たすため、その炭素が鉄に多く溶け込んだ状態になっています。
転炉で炭素量を調整する
銑鉄を今度は転炉に入れます。
転炉に純酸素を吹き込むと、溶けた銑鉄はさらに温度を上げ、銑鉄に含まれていた余分な炭素が酸素と結びついて燃焼し、炭素量が減っていきます。
このとき同時に、硫黄やリン等の不純物も取り除かれます。
この炭素量を調整する工程によって、もろい銑鉄が、強く丈夫でありながら曲げても折れにくい「スチール」(鋼)へと変わります。
高温の真っ赤な液体となった鋼はこうして型に入れて冷まします。
なお、酸素を上から吹き込む現在の方式はLD転炉(純酸素上吹き転炉)と呼ばれます。かつては空気を吹き込む方式が使われていましたが、現在の製鉄所では純酸素を使う方式が主流です。
酸素を上から吹き込む現在の方式はLD転炉(純酸素上吹き転炉)と呼ばれます。かつては空気を吹き込む方式が使われていましたが、現在の製鉄所では純酸素を使う方式が主流です。
完成したスチールを加工
完成したスチールを再度加熱して、加工しやすくします。
そのうえで、延ばしたり、叩いたりして、さまざまな用途に合わせて加工を施します。
その過程で、ビルの鉄筋(柱)になったり、自動車のボディになったりします。
スチール棚は、コイル巻き状態の、薄く延ばしたスチールを、プレス機等で加工し、塗装を施し製作していきます。
スチール棚に使われる鋼板
スチール棚の支柱や棚板には、この工程を経て薄い板状に延ばされた鋼板が使われます。
炭素量が調整されていることで、プレス機で曲げ加工を施しても割れずに形になり、かつ荷重を受けても変形しにくい強度が得られます。
支柱をL型やコの字型(C型)に曲げる、棚板の四辺を折り返して補強するといった構造が成り立つのは、鋼という素材の性質によるものです。
同じ40mm×40mmの支柱でも、L型アングルの軽量スチール棚は120kg/段、コの字型(C型)の中軽量スチール棚は200kg/段と耐荷重が変わります。素材が同じ鋼板でも、断面の形状で強度が決まるためです。
- Q. 鉄とスチール(鋼)は何が違いますか?
- A. 鉄に炭素を加えて加工したものがスチール(鋼)です。鉄は堅い金属ですが、鋼は堅いだけでなく丈夫で曲げても折れにくい性質をもちます。この性質があるため、鉄橋や高層ビルの鉄筋のような巨大な構造物を支えることができます。
- Q. 転炉では何をしているのですか?
- A. 炭素量を調整しています。高炉から取り出した銑鉄は炭素を多く含み、堅い反面もろくて割れやすい状態です。転炉に純酸素を吹き込むと、余分な炭素が酸素と結びついて燃焼し炭素量が減ります。同時に硫黄やリン等の不純物も取り除かれ、強く丈夫な鋼になります。
- Q. スチール棚はどうやって作られますか?
- A. コイル巻き状態の薄く延ばした鋼板を、プレス機等で加工し、塗装を施して製作します。支柱はL型やコの字型(C型)に曲げ、棚板は四辺を折り返して補強します。炭素量が調整された鋼板であるため、曲げ加工をしても割れず、荷重を受けても変形しにくい強度が得られます。
- Q. 銑鉄のままでスチール棚は作れないのですか?
- A. 作れません。銑鉄は炭素が多くもろいため、プレス機で曲げると割れてしまいます。支柱をL型やコの字型に曲げる、棚板の四辺を折り返すといったスチール棚の構造は、転炉で炭素量を調整した鋼だからこそ成り立つものです。
カテゴリここで説明した鋼板を、L型40mm×40mmのアングルと棚板に加工して組み上げたスチール棚です。棚板1枚あたり120kg/段の耐荷重があります。


