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書庫室・書斎の本棚にスチール書架が向く理由

書庫室や書斎の本棚は、見た目で選ぶと本を傷めることがあります。本が傷む原因から逆算していくと、扉のないオープンなスチール書架という答えに行き着きます。その理由と、スチール製ならではの弱点への対処を説明します。

この記事で分かること

  • 本が傷む4つの原因
  • 扉付きの本棚が本を傷めることがある
  • 書庫室・書斎の環境をどう作るか
  • 棚の素材で変わること
  • スチール書架は本が滑る
  • 滑ることは欠点ばかりではない
  • ブックエンドと仕切板で立たせる
  • 古い本を扱うときの注意
  • まとめ
Conclusion
  • 扉付き・ガラス戸の木製本棚:見た目に高級感があり、埃も入りません。施錠が必要な公文書や貴重書の保管には適しています。ただし空気が循環しないため湿気がこもり、カビや虫が繁殖しやすくなります。出し入れのたびに開け閉めも必要です。
  • 扉のないスチール書架:埃は積もりますが掃除で取れます。湿気の影響を受けず、接着剤からの揮発成分も出ません。棚板は25mm間隔で動かせ、拭き掃除もしやすい。日常的に読む本を長く保つという目的に合います。

本が傷む4つの原因

本を長く保つうえで敵になるのは、次の4つです。

  • 湿気:紙が波打ち、カビの温床になります
  • カビ:一度生えると元には戻りません。皮脂やタンパク質が付いた部分から生えます
  • 虫:古い書籍ほど湧きやすく、カビに寄ってきます
  • 揮発成分:棚の素材から出るもの。閉め切った部屋ほど濃度が上がります

この4つを避ける条件をひとつずつ満たしていくと、棚の形と素材が自然に決まります。

扉付きの本棚が本を傷めることがある

高級感を出すため、ガラス戸の付いた木製の本棚がよくあります。大切な本をしまっておきたいという気持ちは分かりますが、本の保存という点ではかえって不利に働くことがあります。

理由は空気の流通が止まることです。ケースや扉の中は空気が循環しないため、湿気がこもり、カビや虫が繁殖しやすくなります。本は手で触るものなので、皮脂やタンパク質が付いた部分からカビが生え、そのカビにまた虫が寄ってきます。

日本のような高温多湿な環境、とりわけ夏場が熱帯に近くなっている近年の気候では、この条件がそろいやすくなっています。

一方、扉がないオープンな書棚では埃が積もります。ただし埃は掃除すれば取れますが、カビと虫は取り返しがつきません。積もったら掃除する、という状態のほうが本にとっては望ましいということになります。

出し入れのしやすさでも差が出ます。扉付きはいちいち開け閉めが必要です。官公庁の公文書のように施錠が求められる書類であれば扉や鍵が必要ですが、個人の書斎や書庫で日常的に読む本であれば、実用的とは言えません。

重要

埃は掃除すれば取れますが、カビと虫は取り返しがつきません。扉で埃を防ぐより、オープンにして空気を通し、積もったら掃除するほうが本にとっては安全です。ただし官公庁の公文書のように施錠が求められる書類は例外で、扉と鍵が必要になります。

書庫室・書斎の環境をどう作るか

本の保存に向くのは、温度が比較的低く、湿度が低い状態で一定している環境です。変動が少ないことが大切で、暑くなったり寒くなったりを繰り返す場所は向きません。

そのため、書庫室や書斎には直射日光が入らず、温度変化の小さい部屋が適しています。北側の部屋や、窓の少ない部屋が候補になります。理屈のうえでは、程よく除湿した地下室がもっとも理想的な空間です。

窓が少ないと換気も減りますので、除湿器やサーキュレーターで空気を動かす工夫をあわせてください。棚を壁にぴったり付けず、背面に数センチの隙間を取るだけでも空気の流れが変わります。

補足

窓が少ないと換気も減ります。除湿器やサーキュレーターで空気を動かす工夫をあわせてください。棚を壁にぴったり付けず、背面に数センチの隙間を取るだけでも空気の流れが変わります。

棚の素材で変わること

木製とスチール製を、書庫室という条件で比べます。

項目木製(合板・集成材)スチール製
重さ重い比較的軽い
棚板の高さ調整固定または数段階25mm間隔で自由に変更
湿気の影響膨張・反りが起きやすい影響を受けにくい
カビ素材自体がカビの温床になりうる素材からは生えない
揮発成分接着剤からの放散がゼロではない放散しない
本の滑りやすさ滑りにくい滑りやすい

木材の合板やカラーボックス、集成材を使った書棚には接着剤が使われています。この接着剤からホルムアルデヒド等の揮発成分が出ることがあります。

現在は建築基準法で放散量が規制されており、F☆☆☆☆(エフフォースター)等級の製品であれば放散量は極めて少なくなっています。ただしゼロではありません。窓の少ない書庫室に木製家具を大量に置く場合は、等級の確認と換気をあわせて考えておくに越したことはありません。

スチール製の棚には、そもそもこの心配がありません。国が定めるグリーン購入法の基準を見ても、木製家具にはホルムアルデヒドの放散速度に関する項目がありますが、金属製の棚・什器の基準にはこの項目自体が存在しません。

なお、どうしても木製がよいという場合、新しい無垢材は木材自体が湿気を放出するため、書庫室では合板のほうが寸法の安定という点で適しています。ただし上記の揮発成分の点は合板のほうが不利になりますので、どちらを取るかという判断になります。

重要

合板・集成材の接着剤から出るホルムアルデヒド等は、現在は建築基準法で放散量が規制されており、F☆☆☆☆(エフフォースター)等級であれば極めて少量です。ただしゼロではないため、窓の少ない書庫室に木製家具を大量に置く場合は、等級の確認と換気をあわせてご検討ください。

スチール書架は本が滑る

スチール書架KUに書籍を縦に並べた状態

合理的に考えるとスチール書架に行き着くのですが、実際に使うと気づく弱点があります。本が思ったより立ちにくいのです。

本がスルッと滑って倒れたり、並べたつもりが動いていたりします。原因は2つあります。

  • 金属は木の繊維より摩擦が小さい:木の棚板には細かな繊維の凹凸があり、本の底が引っかかります。金属にはこれがありません
  • 塗装でさらに滑らかになる:スチール棚板の表面は塗装で仕上げられています。この塗膜によって、金属そのものよりさらに滑りやすくなります

滑ることは欠点ばかりではない

ただし、この滑りやすさは本の整理という点では理にかなっています。

本棚を整理するとき、1冊ずつ抜き差しするのではなく、並んだ本をまとめて左右に寄せるという動作をします。1冊足したいとき、分類を入れ替えたいとき、棚段の端に空きを作りたいとき、いずれもこの動作です。

棚板が滑らかであれば、複数の書籍を一度に間口方向へ動かせます。木の棚板では1冊ずつ引っかかりながら動かすことになり、冊数が多いほど手間がかかります。スチール書架では、手で押すだけで十数冊がまとめて寄っていきます。

メーカーが意図した設計かどうかは分かりませんが、蔵書が増えて並べ替えを繰り返す書庫室では、この性質が効いてきます。立てるときは滑ってほしくない、動かすときは滑ってほしいというのが本音のところで、立てる側だけを部材で補えば両方が成り立ちます。

補足

立てるときは滑ってほしくない、動かすときは滑ってほしい、というのが本音のところです。立てる側だけをブックサポートや仕切板で補えば、両方が成り立ちます。

ブックエンドと仕切板で立たせる

滑りへの対策は、本を押さえる部材を使うことです。スチール書架にはオプションとして用意されています。

ブックサポート・ブックエンド

スチール書架KCJA用ブックサポート

棚段の端や、本の並びの途中に立てて使います。スチール書架KCJAには、棚板の奥行に合わせたブックサポート(奥行220mm棚板用・奥行310mm棚板用)と、T型のブックエンドが専用品として用意されています。

可動仕切板・移動仕切板

棚段を区切って使う部材です。スチール書架KCJA・スチール書架KU用の可動仕切板(高さ160mm・200mm)と、軽量スチール棚用の移動仕切板(高さ200〜300mm × 奥行300・450mm)があります。

仕切板は本を押さえるだけでなく、分類の区切りとしても働きます。種類別や内容別に分けた本の境目に立てておけば、取り出した本を戻す場所が一目で分かります。

参考:本の分類とスチール本棚の収納ルール

補足

仕切板は本を押さえるだけでなく、分類の区切りとしても働きます。種類別や内容別に分けた本の境目に立てておけば、取り出した本を戻す場所が一目で分かります。

古い本を扱うときの注意

古い書籍には、埃やカビ、虫の糞などが微量ながら付着しています。本を動かすとこれらが空気中に舞い、書庫室の中に浮遊しがちです。

そうした環境に長時間いると、アレルギー反応を起こすことがあります。古書をまとまった量で扱う際は、次の点にご配慮ください。

  • 作業時はマスクを着用する
  • 作業中・作業後に換気する
  • 棚板の上を定期的に拭く

この点でも、拭き掃除のしやすさでスチール棚板が有利になります。棚板を外して水拭きでき、木材のように水分を吸って傷むことがありません。

補足

拭き掃除のしやすさでもスチール棚板が有利です。棚板を外して水拭きでき、木材のように水分を吸って傷むことがありません。

まとめ

書庫室・書斎の本棚を選ぶ順序を整理します。

  • 部屋:直射日光が入らず、温度変化の小さい部屋。除湿と空気の循環を確保する
  • 棚の形:扉のないオープンな棚。埃は掃除できるが、カビと虫は取り返しがつかない
  • 棚の素材:湿気の影響を受けず、揮発成分を出さないスチール製
  • 部材:ブックサポート・ブックエンド・仕切板で、滑りやすさを補う

見た目を優先してガラス扉の木製本棚を選ぶこともできますが、蔵書を長く保ち、頻繁に出し入れする使い方であれば、スチール製のオープンな書架のほうが実用に合います。

FAQ
Q. 書庫室の本棚は扉付きとオープンのどちらがよいですか?
A. 日常的に読む本であればオープンな棚をおすすめします。扉やガラスケースの中は空気が循環しないため湿気がこもり、カビや虫が繁殖しやすくなるためです。オープンな棚では埃が積もりますが、埃は掃除すれば取れます。カビと虫は取り返しがつきません。なお、官公庁の公文書のように施錠が求められる書類は例外で、扉と鍵が必要になります。
Q. 木製とスチール製の本棚、書庫室にはどちらが向きますか?
A. スチール製が向きます。湿気による膨張・反りが起きにくく、素材自体がカビの温床になることもありません。接着剤を使わないため揮発成分も出ません。棚板は25mm間隔で動かせ、外して水拭きもできます。重さも木製より軽くなります。
Q. 木製の本棚はホルムアルデヒドが出ますか?
A. 合板・集成材には接着剤が使われており、ホルムアルデヒド等の揮発成分が出ることがあります。ただし現在は建築基準法で放散量が規制されており、F☆☆☆☆等級の製品であれば極めて少量です。ゼロではないため、窓の少ない書庫室に大量に置く場合は等級の確認と換気をご検討ください。スチール製の棚にはこの心配がありません。
Q. スチール書架で本が倒れるのですが対策はありますか?
A. ブックサポート・ブックエンド・仕切板をお使いください。スチール棚板は金属の表面に塗装が施されているため、木の棚板にある繊維の凹凸がなく本が滑りやすくなっています。スチール書架KCJAには棚板の奥行に合わせたブックサポートとT型ブックエンドが、軽量スチール棚には移動仕切板が専用品として用意されています。
Q. スチール棚板が滑るのは欠点ですか?
A. 整理のしやすさという点では利点にもなります。本棚を整理するときは、並んだ本をまとめて左右に寄せる動作をします。棚板が滑らかであれば複数の書籍を一度に間口方向へ動かせますが、木の棚板では1冊ずつ引っかかりながら動かすことになります。立てるときだけブックサポート等で押さえれば、両方が成り立ちます。
Q. 書庫室に向く部屋の条件は何ですか?
A. 直射日光が入らず、温度変化の小さい部屋です。温度が比較的低く、湿度が低い状態で一定していることが条件で、暑くなったり寒くなったりを繰り返す場所は向きません。北側の部屋や窓の少ない部屋が候補になります。理屈のうえでは、程よく除湿した地下室がもっとも理想的です。
ブックサポート KCJAスチール書架用 奥行220mm棚板用商品
この記事で紹介している商品ブックサポート KCJAスチール書架用 奥行220mm棚板用

スチール書架KCJA専用のブックサポートです。単式(外寸D260mm)・複式(外寸D480mm)に適合します。奥行310mm棚板用もご用意しています。

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